研究課題/領域番号 |
02640619
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
柴 正敏 弘前大学, 理学部, 講師 (80125442)
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研究分担者 |
佐々木 実 弘前大学, 理学部, 助手 (00196180)
大貫 仁 弘前大学, 理学部, 教授 (00004317)
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キーワード | 日高変成帯 / 累進変成作用 / 下降変成作用 / 変成条件 / 地質圧力ー温度計 / K-Ar年代測定 / 流体包有物 / マイロナイト |
研究概要 |
平成4年度は、平成2年度および3年度の補足実験と総括を行った。その結果は次のようにまとめることができる。(1)泥質岩類の変成分帯および鉱物の共生関係の解析により、本変成帯は緑色片岩相からグラニュライト相にわたる累進変成作用によって形成されたと考えられる。その温度・圧力条件は、種々の地質圧力計・温度計の適用により、450℃・2 Kbarから900℃・5 Kbarと推定できる。また、K-Ar年代測定の結果などから、この累進変成作用の時代は56-40Ma(古第三紀・始新世)と考えられる。(2)本変成岩類は、下降変成作用を受けている。この下降変成作用は、2つのステージに分けることができる:マイロナイト形成のステージ(塑性変形のステージ)および細脈形成のステージ(脆性変形のステージ)。両ステージの変成条件は、鉱物の共生関係から、前者が角閃岩相から緑色片岩相、後者が緑色片岩相、プレーナイト-アクチノ閃石相、プレーナイト-パンペリ石相及び沸石相に対応する。両ステージの変成条件がオーバーラップすることも明かとなった。両ステージの温度・圧力条件は、前者が600-400℃・2 Kbar、後者が450-150℃・2-1.5 Kbarと推定できる。両ステージの時代は、K-Ar年代測定の結果から、前者が40-18Ma(始新世ー中新世)、後者が18-10Ma(中新世)と考えられる。(3)細脈形成ステージに活動した変成流体の組成及びその変化を、細脈の鉱物共生関係の解析や流体包有物の観察により検討した。すなわち、変成流体は主にH_2Oからなり、変成温度の下降にともない、CaやMgイオンの活動度が低くなり、Naイオンのそれは高くなることが明らかになった。本研究により、日高変成帯のより正確な温度ー圧力ー時間ー変形ー流体組成変化経路が明かとなった。
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