1.上野玄武岩類と御嶽山の玄武岩質岩石のSrーNd同位体組成 長野・岐阜両県下の上野玄武岩類(2.7ないし0.9Ma)10個について、 ^<87>Sr/ ^<86>Srと ^<143>Nd/ ^<144>Ndを測定した。 ^<87>Sr/ ^<86>Sr=0.7055〜0.7070、ε_<Nd>=+3.3〜ー1.1であり、これら同位体比は特定の経年変化を示さない。そのε_<Nd>^ー ^<87>Sr/ ^<86>Sr関係は、地球平均値(ここではε_<Nd>=0、 ^<87>Sr/ ^<86>Sr=0.70475)に近く、マントル列にほぼ平行な帯状にばらつき、 ^<87>Sr/ ^<86>Srの高い側にやや外れる。これに対し、同一地域内の御嶽火山(0.8Ma以降)の玄武岩質岩石3個はマントル列内にプロットされる。両者の^<87>Sr/ ^<86>Srの違いは、地殻物質の影響では説明できそうになく、約1Maに当地域下のマントル内で何等かの事件が起きたことを反映していると思われる。 2.地蔵峠安山岩類のSrーNd同位体組成 上野玄武岩類と同時代にほぼ同一地域に形成された地蔵峠安山岩類4個のε_<Nd>^ー ^<87>Sr/ ^<86>Sr関係は、上野玄武岩類のそれと重複する。故に上野玄武岩類の活動時に形成されたマグマのSrとNdの同位体組成の大枠は、その化学組成と無関係に決定されたと言えよう。 3.両白山地および福井県北部の火山岩類のSrーNd同位体組成 両白山地(願教寺山、大日ケ岳、経ケ岳および毘沙門岳)と福井県北部(国見岳と東尋坊)の火山岩類のε_<Nd>^ー ^<87>Sr/ ^<86>Sr関係は、上野玄武岩類と類似するが、それよりも高 ^<87>Sr/ ^<86>Srで低ε_<Nd>の方向に伸びたばらつきを示す。
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