研究概要 |
(1)ホウフツ石のGa置換体の合成法がほぼ確立されたので、引き続きその成長と形態について調べた。最大に成長した結晶の大きさは200μmぐらいであった。しかし、それ以上に成長したものは、複数の結晶が相互に凝集するため単結晶として分離できなかった。合成条件を同一にしてA1ホウフツ石を合成したところ、最大600μmまで成長した単結晶が得られた。これは、これまでに報告されているホウフツ石の単結晶に比べて最大の大きさである。従って、さらに大きく成長させることも可能であり、今後の研究課題として残したい。 (2)Ga-ZSM-5とGa,A1-ZSM-5固溶体の合成法もほぼ確立されたので、これらの成長と形態について調べた。主な形態は、針状晶が放射状に集合し、径が13〜15μmに成長した球晶である。球晶の大きさはA1含有量によって変わり、A1量が多いほど大きく成長してA1端成分では18μmに達した。このとき放射状に集合した針状晶も幾分太く、長く成長した。このようなことから、これらの結晶は濃厚な溶液中で成長したと考えられる。また、ケイ素をシリカ源として合成したシリカライト1のSiO_2/A1_2O_3モル比は、2x10^5に達し、これは従来の報告例にない高い値である。その格子定数は、斜方晶としてa=20.103,b=19.950,c=13.436Aであった。 (3)ゼオライトと同形のBeを含むロブダライトは、ゼオライトのBe置換体を研究する上で大切である。筆者は世界で初めてロブダライトを人工合成し、構造中でのBeO_4とSiO_4四面体からなる3員環の結合エネルギーを調べる目的で、IRスペクトルで測定を行った。その結果、この化合物でのBe-O結合はエネルギー的に安定であることを立証した。
|