研究概要 |
3年間にわたる本研究で得られた成果は次の通りである。 (1)高シリカゼオライトZSMー11のGa置換体、即ち、Ga,Al-ZSM-11固溶体の生成条件が分かり、GaとAl間での固溶関係及び生成結晶の成長と形態の関係も判明した。また、それら生成結晶のプロトン(H)型イオン交換体によるメタノールからガソリンへの触媒特性も明かになった。 (2)フェリエライトのFe置換体、即ち、Fe,Al-フェリエライト固溶体の触媒特性が明らかになった。特に、これらのプロトン型イオン交換体によるメタノールから炭化水素への転化反応における触媒活性、選択性及び寿命についての知見か得られた。 (3)ホウフッ石のGa置換体、即ち、Ga,Al-ホウフッ石の合成条件が判明し、GaとAl間での固溶関係と生成結晶の成長と形態の関係も明らかになった。 (4)高シリカゼオライトZSM-5のGa置換体、即ち、Ga,Al-ZSM-5固溶体の合成条件と共にGaとAl間での固溶関係と固溶限界が明らかになり、また、それら生成結晶の成長と形態との関係が判明した。 (5)ゼオライトと同形構造の合成ロブダライは、その骨格構造にBeO_4とSIO_4四面体からなる3員環をもつが、この連結様式はIR測定に基づきエネルギー的に安定であることが明らかになった。 (6)(3)で述べたホウフッ石の合成研究を通して、粒径か600μmに達する単結晶が得られた。これは、既に報告されているどの合成ゼオライト種の粒径よりも大きく、新記録である。更に大きく成長する可能性があるため、ゼオライトの成長機構の解明を目的に、ホウフッ石の単結晶育成実験を今後の研究課題の筆頭に挙げたい。
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