研究概要 |
1969年より1984年までの間、江藤によって撮影された手のレントゲン写真のうちから、身長,体重,胸囲の身体発育記録、および初潮年齢の記録されている、延べ1,172枚のフィルムを用い、各写真からTW2法によって、各骨の骨成熟段階を評価した(芦沢)。 (1)まず、成熟段階評価値に基づく、骨年齢計算のためのプログラムを作成し、全被験者(5歳から18歳まで。各年齢群30から120名)の、各暦年齢における骨年齢を求めた。 (2)予備的に半縦断的に被験者集団の各暦年齢ごとの骨年齢平均値を求めた。 (3)各被験者ごとに、各暦年齢ごとの身長,体重,胸囲から、半縦断的に、それぞれの平均値を求めた。 (4)スプライン関数への成長曲線あてはめのためのプログラム作成に着手した。 (5)各被験者群の半縦断的平均値は、1964年生まれの東京都女子ならびに日本全国女子の半縦断的平均値と比較すると、後2者のいづれとも有意差を示さず、身長,体重,胸囲ともに平均的日本人女子の体位を示す。 (6)(2)の結果得られた被験者群の骨成熟度を、ほぼ同じ年代に生まれた九州、沖縄の資料のそれと比較すると、若年層では被験者群の骨成熟度は、後2者より進んでいるが、思春期以後は成熟が緩慢になり、成熟完了は、約2年遅い。 (7)1977年調査の東京都女子(社会経済的に裕福な階層、ただし横断的調査)のそれと比較すると、9歳までは両者はほぼ等しいが、10歳以後本研究女子(中産階級子女)の速度が緩慢となり、約1年遅れて成熟完了に達する。日本人集団での地域差、社会経済環境などの要因は無視できないと思われる。
|