本年度に重点的に行ってきた、晩期巨星型脈動変光星の測光観測デ-タの収集とパソコンによる光度曲線デ-タベ-スの作成は順調に進展している。特に、晩期巨星型脈動変光星を含む全ての変光星についての、わが国の過去80年間の100万個にのぼる未発表の実視観測デ-タが収集され、そのうち既に約80万個のデ-タをデ-タベ-ス化し、平成3年度半ばには完成の予定である。その一部としてミラ型の416星の1984年から1987年にかけての光度曲線集を出版した。平成3年度には同様に半規則型星、不規則型星の光度曲線を出版する。 これらの他、外国の変光星観測者団体からの観測デ-タも収集が進み、特にミラ型星について進めている予備的に解析から、本格的な解析を行う基盤が整備された。なお、この光度曲線デ-タベ-スは公開し、本研究のみならず恒星に関する広い範囲の研究に役立たせる。 観測については国立天文台堂平観測所で光電測光観測を継続して行った。そのうち、ミラ型、半規則型など長周期脈動変光星については観測の解析を行っている。またこの観測は、平成3年度についても継続して行い、総合的な観測結果として発表の予定である。なお、長周期脈動変光星との比較のため、非常に短周期の変光をみせる白色矮星型脈動変光星の一つ、うお座ZZ星について光電測光観測を行った。この星は主要な五つの周期をもち、観測する日時によって周期の相対的な強度が変動することが知られるが、観測によりそれを解析し、雑誌論文として発表した。なお、この星についても観測を継続して行う予定である。
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