1.理論 (1)超短共振器に付随する電磁界モ-ドの解析:二枚の誘電体平板を対向させた形態の共振器モデルについて、マウスウェル方程式に基いて三次元的な解析を行い、放射モ-ド、導波モ-ドの各々について、またTE・TMの各姿態について規格直交化されたモ-ドの表現を求めた。 (2)自然放出確率の計算:(1)に基いて場の量子化を行い、二準位原子モデルについて、共振器内での自然放出の解析を行い、摂動論の範囲で全放出率と放射パタ-ンを計算した。また導波モ-ドに関しても放出率の計算公式を導出した。その結果、高い共振器Qに対しては鋭い放射指向性が得られ、当該方向の放出率は増強されるが、全方向について積分した放出率の上昇は得られないことが判明した。また導波モ-ドへの放出率は、空間への放出率と同程度であることが判明した。 (3)自然放出における有効面積の概念の提唱:上記(2)の解析の結果、高い共振器Qの場合に対して、全放出率、指向性等に関する公式を得た。これをPurcellによる放出率の概算法と比較することにより、鏡面方向の有効面積が得られた。この面積の平方根は、特性的な光子の横方向平均自由行程であると解釈できることを示した。 2.実験 (1)超短共振器の反射鏡間隔の測定法の確立:鏡間隔が半波長程度になると、ファブリ-・ペロ-干渉計としての干渉リングを観測する方法が使えなくなるため、複数の単色光を用いて、干渉法により、わずかに傾斜させた反射鏡対の間隔を測定する方法を確立した。 (2)超短共振器中の色素分子の自然放出の観測:N_2ガスレ-ザ-励起により蛍光の減衰をシンクロスコ-プ上に描かせることに成功した。
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