1.理論 (1)超短光共振器の誘電体板対モデルの解析:このモデルは実際のファブリ-・ペロ-型超短光共振器の特性に近く、しかも解析的な手段で特性を論じられるよう簡略化したモデルである。これに関して、定在波を基本とした解析により共振器外へ放射される放射モ-ドおよび誘電体板対(反射鏡対)に沿って伝搬する導波モ-ドへの自然放出率を求めた。また放射の角度分布も求め、特定の共振器モ-ドへ自然放出が集中する割合を算出した。 (2)実際的な超短共振器の解析:誘電体多層膜反射鏡を用いた共振器について(1)と同様の計算を行った。解析には各誘電体層をマトリクスで表現する方法を用いた。導波モ-ドについては実効的なモ-ド密度を求めて計算を行った。 (3)有効面積の概念の提唱:ファブリ-・ペロ-型の超短光共振器における共鳴モ-ドの空間的分布は、反射鏡の反射率と共振器長とで定まる有効半径で規定されることを示し、これに対応する有効面積の概念を提唱した。 (4)非摂動論的解析:一次元の範囲で非摂動論的な解析を行い「真空ラビ振動」の態様および実効ラビ電界について検討した。 2.実験 共振器長約2〜10μmの光共振器の色素ロ-ダミン6Gの応液を注入し、波長520nm、パルス幅1nsのレ-ザ-光で励起し、その出力を共振器外での蛍光と比較した。発光のピ-ク波長いずれも約570nmであった。蛍光波長幅は34nmから2.7nmへ減少し、パルス幅は蛍光の6.3nsに比し0.92nsに減少した。両対数表示の出力対入力特性の傾きは実験の全域でほぼ2であり蛍光からレ-ザ-発振への過渡領域にあると考えられる。最小入力は0.5μJであった。今後、より小入出力の測定を行うために、感度の向上が必要である
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