研究概要 |
本研究の背景 現在、情報の高密度化・高速そして機能的処理が叫ばれ、各種情報機器の小型化・可搬化が促進されている。そのため、消費電力の減少、機器の軽量化が問題となっている。電源は勿論であるが、主として表示装置の省電力化、動作電圧の低下が有効な策と考えられ、現在液晶表示装置が実要されている。しかしながら、ディスプレ-のカラ-化などのためにはさらにブレイクスル-が必要とされる。現在、カラ-ディスプレ-としては従来の延長上の液晶技術を用いるもの、無機の発光素子を用いるものなどがあるが、前者ではバックライトなどが必要であり、また後者では150ボルトという高い駆動電圧が必要といわれ、上に述べた省電力化の点から望ましくない。 そこで有機材料のような新しい素材への期待がもたれている。 本研究は【気相成長高分子ー有機色素複合系による高効率・高安定電界発光素子の作製】をめざして行われた。 (1)気相エピタキシャル成長高分子薄膜ー有機色素複合膜のinーsitu作製技術の開発。 気相エピタキシャル成長高分子薄膜の作製は報告者が従来から行ってきた熱分解銃合法により行った。有機色素膜の成長は真空蒸着法により行い、交互積層成長法、同時成長法などによって複合膜を作製した。 (2)高電界下での同複合薄膜への電子・ホ-ル注入過程,および衝突イオン化による電子なだれの発生機構を解明した。 (3)同複合薄膜界面におけるエネルギ-の移動過程,電子・ホ-ルの移動過程,およびそれらの再結合過程の解明による発光の高効率化を図った。 (4)耐バリヤ性の優れた気相成長高分子のコ-ティングによって,酸素,水分などに対する電界発光素子の安定性の向上を向上させた。
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