1.硫化亜鉛薄膜を母体とする薄膜エレクトロルミネッセンス素子における発光中心の励起過程を明らかにするため、種々の素子を製作しその特性を測定したところ、以下の結果を得た。 (1)硫化亜鉛薄膜を母体とする薄膜エレクトロルミネッセンス素子における発光の過渡的振舞いは、フォトルミネッセンスの振舞いと同様であった。 (2)発光中心からの発光は、可視域全体に広がる硫化亜鉛母体の発光の減衰の過程で現われる。 (3)熱処理温度の異なるエレクトロルミネッセンス素子の特性から、発光中心の励起に母体の再結合が関与している可能性が示された。 (4)発光中心の励起過程を理解する上で有効と思われる結果が、エレクトロルミネッセンスに及ぼす紫外光照射効果において観測された。 (5)これらの結果から、エレクトロルミネッセンス素子における発光中心の励起は母体からのエネルギ-伝達によるものと考えられる。 2.励起機構を考慮してTm^<3+>イオンを添加した青色発光エレクトロルミネッセンス素子を製作し、以下に示す結果を得た。 (1)発光中心として、TmFx中心よりもTmOF中心が効率的である。 (2)禁制帯の広い母体を用いると、Tm^<3+>イオンからの発光は短波長側で優勢となる傾向が観測された。
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