研究概要 |
本研究の目的は,錐体の分光感度に基づく表色系の確立のための基礎デ-タと理論を構築することにある.実験計画は(1)実験装置の作成,(2)等色関数の測定,(3)測定結果の解析,(4)研究成果の取り纒めの4つから成っており,(1)についてはコンピュ-タによる制御部分を残し,ほぼ実験装置が完成しており,(2)から(4)については一部が終了し,残りは現在も継続中である. (2)については等色関数の測定の前に,各被験者の視覚特性を調べるために,直接比較法と交照法により16人の被験者について分光視感効率を測定した.これらの結果を主成分分析し,被験者の視覚特性を2つの主成分で表わす方法を新たに確立した.この成果は,1991年の国際照明委員会(CIE)メルボルン大会で発表される. (3)については等色関数のと錐体分光感度の関係,特に現在のCIE表色系と人間の視覚メカニズムの関係の理論的考察を行ない.その成果を電子情報通信学会技術報告にまとめた.また,CIEのTC1ー04の生理学的基礎に基づく表色系の確立に関する技術委員会報告の作成に寄与した. 等色関数の測定は長時間の被験者実験を要求され,今後もさらに測定を継続する必要がある.また,近い将来に錐体の分光感度の標準的な値もCIE TC1ー04から技術報告として出されることになる.今後の研究計画としてはこの錐体分光感度に基づく表色系を画像システム,特に色再現の設計に応用することを考えている.
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