研究概要 |
断続光の吸収熱によって生じるカンチレバ-のたわみ振動を光学的に検出してカンチレバ-探針に働く原子間力の勾配の検出から、表面微細構造を計測する原子間力顕微鏡の研究を計画し、平成2年度において次のような知見が得られた。 1.原子間力を検出するために長さ1mm,幅0.5mm、厚さ10μm程度のカンチレバ-を使う。この製作加工に、レ-ザ-加熱によってエッチングを促進させるレ-ザ-促進エッチング法に着目し、エッチング液濃度、比率等の基礎特性を明らかにし、コンピュ-タ制御による2軸ステ-ジを用いてカンチレバ-を再現性よく製作することに成功した。 2.前記1.で製作したカンチレバ-の振動特性を明らかにした。このために、レ-ザ-加熱によるフォトサ-マル振動の発生法を考案し、その検出に光てこ法によって0.6mWのレ-ザ-出力で10nmの振動を発生させることができることを確認した。 3.前記2.の実験装置を用いてカンチレバ-の共振特性を測定した。その結果、共振周波数3.0kHz,Q値200の特性が得られることがわかり、原子間力検出に有効であることが確認された。 4.前記2、3の実験装置によってフォトサ-マル振動させたカンチレバ-を試料に接近させて原子間力の検出を試みた。その結果、試料表面から6nmの所で6.2×10 ^8Nの原子間力を検出できることが分かり、これにより本研究の最終目標である原子間力検出による表面微細構造の観測に見通しを得ることができた。
|