電磁誘導によって生じるファラデ-電流のジュ-ル損失により電子が加熱され、非平衡状態を維持している、MHD発電状況下にあるプラズマの構造を、東京工業大学総合理工学研究科に設置されている「クロ-ズドサイクルMHD発電実験装置:FUJIー1」及び衝撃波管の発電実験の於いて、種々のゆらぎの測定を行って調べ、数値シミュレ-ションの結果と比較して、次のような事が明らかになった。 1. エンタルピ-抽出率(出力電力に対する熱入力の割合)が高くなるように設計した発電機に於いては、プラズマと流れとが強く絡み合った構造を作ることが、圧力とプラズマ発光のゆらぎの相関を調べることにより明らかになり、磁気音響不安定性と呼ばれているプラズマの不安定性の成長の大きさが、発電機のエンタルピ-抽出率に依存していることが分かった。 2. 2温度モデルとして知られている非平衡プラズマを記述する方程式を基にして数値シミュレ-ションを行い、電磁誘導によりプラズマに誘起される電圧・電流特性と外部負荷とのミスマッチにより生じるプラズマに構造について、電気的なミスマッチが強いと電離不安定性が生じ、発電機内での作動気体の流れの振舞いと電気出力の関係にミスマッチがあると、磁気音響不安定性が強く現れることが分かった。 3. 上に記したミスマッチでそれぞれの不安定性に伴うプラズマの構造と、エネルギ-変換の関係については、まだ未解決であるが、エンタルピ-抽出率とプラズマ不安定性の出現に大きな関連があることが分かったことは大きな収穫であった。今後もこの研究を継続して行いたい。
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