研究概要 |
航空宇宙機や地球軌道上での軽量化構造は極超音速,極高・低温,真空,微小重力,超柔軟性など極限的状況での使用に対して耐えることが要求されるようになってきた。特に極超音速で飛行する宇宙往還機やスペ-スプレ-ンの主翼機体構造は高温にさらされる状態で、静荷重だけでなくフラッタなどに対しても耐えうる軽量化構造が要求されるので、超音速や極超音速飛行の際の空力加熱による平板の座屈状態と曲面板の簡単なモデルとしての座屈梁と曲り梁について、現有の振動試験装置と別途購入した非接触変位計を用いて予備的な非線形振動実験を行い、カオス応答などの特性を調べた。また、購入した大容量の磁気ディスク機構により強力となった現有のワ-クステ-ションを用い、2段ロケットのモデルである従動力を受ける二重弾性結合梁が二重零固有値を持つ場合について、初期不整などによる非対称性が系の分岐、動的特性に与える影響について明らかにした。また、この系がホモクリニック分岐を持つ場合についてメルニコフ関数による解析により、カオス振動の発生を予測し、実際に数値解析によりカオス振動の発生の様子を明らかにした。極めて薄肉の平板を用いた座屈状態での非線形加振実験では初期不整、その他の影響が平板の振動特性を大きく変えることが判明し、一方初期不整、その他の影響を解析に十分取り込むことが難しいため、理論と実験の十分の一致が得られない。これは次年度の課題である。
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