研究概要 |
複合材料の力学的特性試験は、構造設計のために必要な信頼性のある材料特性を提供するために行われるものなので、重要な課題であるにも拘らず、未だISOでも審議段階で整備されていない。特に高性能の先進複合材料では異方性が大きく、各種の特異現象のため、未だ研究段階である。そこで、最も重要な曲げ特性の試験法を取り上げ、最も普及し且つ、異方性の大きい一方向強化CFRP(T800)材を取り上げて実験および数値計算を行って考察した。 1)従来通常行われてきた3点曲げ、4点曲げ方式では、負荷圧子下での応力集中で局部破壊し、所謂曲げ破壊しないため曲げ強度は低い。 2)従って負荷点下にフィルムを挿入したり、負荷点圧子半径を大きくしたり、また試験片付法としてスパン/板厚比を大きくしたりすると、軸応力による曲げ破壊を起し、曲げ強さは30〜40%増加した。 3)これらの静的曲げ実験結果は、曲げ疲労試験でも確認され、またFEM解析による数値計算結果によっても良く説明できる。 4)そこで圧子近傍の局所脆性破壊が先行しないで曲げ破壊を発生させる曲げ試験法として、純曲げ試験治具を試作して実験すると、応力集中の影響もなく、3,4点曲げ方式より30〜40%大きい曲げ強度が得られ、先進複合材料の曲げ試験法として望ましいことがわかった。 5)しかし本純曲げ治具では、曲げたわみが増大し、曲げモ-メント値にも影響することがわかったので、次年度に純曲げ治具を改良したい。 6)純曲げ方式を採用する場合にも、曲げモ-メント〜たわみ関係は、両端部の吸い込み移動、大たわみ効果によって非線形となるので、有限線形理論によってこれらの関係を解析し、実験曲線をよく説明できた。
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