研究概要 |
1.通常曲げ試験はJIS規定により、3点あるいは4点曲げで行われてきた。しかし一方向強化CFRP材のように高強度・高剛性で異方性の大きい先進複合材料に適用すると、負丹点圧子直下での応力集中で局部破壊し、所謂曲げ破壊とは云えず、望ましくないことがわかったきた。すなわち、スパンが長く、板厚が薄い方が曲げ強さは大きく、3点曲げ強さの方が4点曲げ強さより大きく、これは圧子荷重の増大による応力集中の影響によるものである。そこで圧子の下に薄いフィルムを挿入すると、応力集中の緩和で曲げ強さは3,4点曲げ強さより30〜40%も増大し、JIS法による試験法は再検討すべきことが明らかになった。 2.そこで応力集中のない純曲げ方式のために2種の純曲げ治具を試作し比較のために前述と同じ一方向強化CFRP材で曲げ試験をした。 (1)先ず滑動枠(SF)型治具を試作して純曲げ試験を行った。この治具では、両端部の傾斜による曲げモ-メントの補正を行う必要が生じたが、補正後の曲げ強さは、3,4点曲げ方式による値より30〜40%も大きく、前述のフィルム挿入時と同程度の値が得られ、破壊様式も繊維方向の軸力による曲げ破壊で、大エネルギの放出で瞬時にバラバラになった。 (2)次にSF型治具での補正の必要のないラック-ピニオン(RP)型治具を試作し、純曲げ試験を行ったが、前述の補正値と同じ2.4〜2.5GPaの曲げ強さが得られ、板厚2mmと3mmによる相異もなかった。 3.以上の試験結果から、JIS法による3,4点曲げ方式を先端複合材料に適用することは望ましくなく、再検討すべきで、これに代る方法として純曲げ方式が真の曲げ特性の得られる試験法として望ましいことがわかった。
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