研究課題/領域番号 |
02650056
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
清水 保雄 信州大学, 工学部, 助教授 (20142284)
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研究分担者 |
小林 光征 信州大学, 工学部, 教授 (80021020)
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キーワード | 傾斜組成皮膜 / アルミニウム溶射 / 複合炭化物合金溶射 / マグネシウム基複合合金 / 加熱拡散処理 / 溶融反応 / 金属間化合物 / 耐熱・耐摩耗性 |
研究概要 |
実用金属中最も軽く比強度がアルミニウムや鋼に優るマグネシウム合金の代表材である展伸用AZ31合金および鋳造用MC1合金を主供試基材として採用し、これにアルミニウム及びNiー10%WC複合合金、さらに両者の混合合金のフレ-ム溶射、並びにそれらの真空加熱拡散処理を実施し、組織の改善、硬さ、耐食性の向上を検討した。翌平成3年度までの研究の中間報告として、本年度に得られた研究成果の概要を以下に記す。 (1)溶射状態でのアルミニウム皮膜の硬さは2種類のマグネシウム合金基材のそれぞれを下回るが、Niー10%WC複合合金皮膜の硬さは後者の2基材の5倍以上に達した。また、アルミニウムとNiー10%WCの混合合金皮膜のそれはほぼ前2者の中間の値を示した。しかし、溶射されたままではいずれの皮膜も緻密性に劣り、またアルミニウム皮膜では比較的密着強度は高いが、その上へ溶射積層されたNiー10%WC複合合金皮膜の結合力は極めて弱かった。このことは、フレ-ム溶射ではNiー10%WC複合合金の溶融不良や被溶射粒子の飛行速度の不足に原因していると考察された。 (2)一方、これに対し溶射後の加熱拡散処理はアルミニウム皮膜を基材マグネシウムと反応させ、金属間化合物Al_2Mg_3、Al_3Mg_2の形成を促し、組織の緻密化と硬さの増大に寄与し、併せ熱的安定性をもたらす。加熱拡散処理温度は445℃、1時間で十分であった。これにより基材マグネシウムと溶射アルミニウムは溶融反応を生じ、より強固な皮膜密着性が得られると共に、最外層を形成するNiー10%WC複合合金皮膜との結合力の向上にも貢献することが期待できた。 (3)しかし、上述のようにフレ-ム溶射は緻密な皮膜形成に限界があり、より高速、高熱量のプラズマ溶射を採用し、さらに高性能の複合材料としての可能性を検討すべきであることが示唆された。
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