研究課題/領域番号 |
02650056
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
清水 保雄 信州大学, 工学部, 助教授 (20142284)
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研究分担者 |
小林 光征 信州大学, 工学部, 教授 (80021020)
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キーワード | 溶射複合合金 / 高速フレ-ム溶射 / マグネシウム基合金 / 炭化物サ-メット / 傾斜組成 / 耐摩耗性 / 耐熱性 / 加熱拡散処理 |
研究概要 |
前年度の汎用フレ-ム溶射装置によるNiーWC系サ-メット溶射では、皮膜層の密着性に限界があり、また皮膜の硬さも十分でなかった。これらの問題を解決するため、本年度は更にプラズマ溶射および高速フレ-ム溶射を導入し、また溶射材料をWCーCo系サ-キットに代替し、検討を行った。得られた研究成果の概要を以下に記す。 1.高速フレ-ム溶射は、採用した溶射法中、最も良好な皮膜を形成でき、目標とする傾斜組成溶射複合合金の製造に適することが判った。同法は、原料粉末と殆ど結晶構造の違わないWC及びCO_3W_3C相から成る緻密で密着性の良い皮膜を形成でき、その硬度はHv800〜1200に達した。一方、プラズマ溶射は、WC相の大部分を分解し、Wを主相とする皮膜を生成し、緻密ではあったが、硬度はHv400以下の低い水準に停滞した。汎用フレ-ム溶射は、多孔質で極めて密着性に劣る皮膜しか形成できず、WCーCo系材料の溶射にも適さないことが判明した。しかし、下地溶射アルミニウム皮膜は何れの溶射法によっても、密着強度は不足ない水準に達し、加熱拡散処理に適用できた。 2.440℃、30分の加熱拡散処理により、アルミニウム溶射皮膜は基材マグネシウム合金と反応し、金属間化合物Al_2Mg_3、Al_3Mg_2を生成する。同処理により表面層組織が緻密化され、硬さが増大した。また、これにより、複合材表層部に傾斜組成組織が形成され、マグネシウム基材と最表層部WCーCoサ-メット溶射皮膜とが強固に結合され、密着性も改善された。 3.本処理による複合合金は、表面に溶射されたサ-メット層の存在により、焼入れS45C鋼材より20倍以上耐摩耗性に優れ、また、マグネシウム合金基材に比べ耐熱性と耐食性に優れる軽量の複合材料として期待できる。
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