研究概要 |
Tiー6Alー4Vの合金極低温疲労強度と破壊機構を明らかにするためαーβ圧延ー焼なまし板材の曲げ疲労試験およびき裂伝播試験を77Kにおいて行うと共に、表面、縦断面および破面観察を合わせ行い、以下の結果が得られた。 (1)77Kにおけるき裂発生は、表面のα相粒内でおこり主として粒内を伝播する。10^5回の寿命に対応する応力レベルの場合、内部からのき裂発生はみられなかった。 (2)77K、293Kいずれの場合にも低速伝ぱ域はα結晶粒に相当する細荘なファセットを特徴とする凹凸からなる破面を呈した。伝播速度の増加とともにプラト-からなる破面に変化した。77Kにおけるこの破面は293Kのそれと比べ平坦であった。高速域では明瞭なストライエ-ションがいずれの場合にも観察された。極低温の場合のみに最終破断に近い領域で,き裂伝播方向の細長い脆性的な溝状模様が観察された。 (3)極低温での伝播速度は293Kのものと比べて1/2〜1/4とかなり小さく、とくに低速伝ぱ域においてそれが著しい。77Kでは高、低両伝ぱ速度域を通じてき裂開閉口レベルが室温の場合より高いこと、また有効応力拡大係数幅に対するき裂伝播速度の関係は温度に関係なく一本の曲線に整理されることなどが判明した。 (4)縦断面の観察によると、77Kにおける内部へのき裂伝播経路は、低伝ぱ速度域では組織敏感となり、顕著な分岐が認められた。 (5)超高圧透過電子顕微鏡により、77Kにおける低伝播速度域でのき裂周辺のα相粒内に柱面すべり面上にならんだ転位列が観察された。き裂先端ごく近傍の転位組織観察については、き裂面酸化皮膜が研磨液ジェットを乱し良好な試料が作製できなかった。引き続きアトムシンニング法を用いて観察を試みる。
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