研究概要 |
ダイナミックミキシング法とマルチア-クPVP法を作って膜厚を変えながらTiN膜及びCrN膜を作成し,疲労試験,スクラッチ試験及び摩擦・摩耗試験を行った。また,ダイナミックミキシング法を用いて,TiN膜の膜厚を一定に保ちながら,維成を変えた膜を積層化することにより同種の試験を行った。その結果,次のような結論を得た。 1.疲労寿命は薄膜の厚はほど長くなるが,応力レベルが低くなるとその傾向はさらに顕著となった。 2.同一のTiN膜であっても成膜方法をダイナミックミキシング法及びアルチア-クPVD法では疲労寿命に差異が生じた。すなわち,疲労寿命は後者に比べて前者が長い傾向にあった。 3.薄膜の密着強度は,スクラッチ条件に強く依存した。すなわち,それは,負荷速度が大きくなると減少し,スクラッチ速度とともに増加した。しかし膜厚が厚いほど大きくなる傾向を示した。同一の膜厚であれは,TiN膜の方がCrN膜より大きい。 4.摩擦係数は膜の表面状態に強く依存する。回転数が小さいとき,摩擦係数はすべり距離とともに除々に増加してμ=0.8付近に飽和した。しかし,回転数が大きくなると,すべり距離とともに連続的に増加した。その値は,膜厚が厚いほど小さい。 5.薄膜を積層化することは,疲労寿命にかなり影響することは単相仮覆の場合と同じであるが、その程度は組成や成膜条件と密接に関連していた。これらは,き裂成長過程よりむしろき裂発生過程に強く影響した。
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