研究課題/領域番号 |
02650059
|
研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小寺澤 啓司 姫路工業大学, 工学部, 教授 (50047594)
|
研究分担者 |
井上 尚三 姫路工業大学, 工学部, 助手 (50193587)
内田 仁 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (30047633)
|
キーワード | 窒化物薄膜 / 高周波反応性スパッタリング法 / 酸化挙動 / 窒化チタン / 窒化アルミニウム |
研究概要 |
前年度までに、窒化物多層薄膜を構成するAlN、TiN各単層薄膜の組成、結晶構造、成長過程等を明らかにし、それぞれの窒化物薄膜が安定に作製できる成膜条件を決定した。本年度は、AlN/TiN二層薄膜を高周波反応性スパッタリング法によって作製し、TiN薄膜上でのAlNの成長過程、形成された界面の状態をX線回析、透過電子顕微鏡、オ-ジェ電子分光法によって明らかにすることを目的とした。また、多層薄膜の応用として耐酸化特性を取り上げ、評価を行った。以下、得られた結果を簡単に述べる。 1)AlN薄膜は、TiN薄膜上でC軸配向する。 2)AlN/TiN二層薄膜の界面には反応生成物や拡散層は認められず、高周波反応性スパッタリング法で急峻な界面を形成できることがわかった。 3)TiN単層薄膜は、500℃以上の大気中で熱処理すると酸化が急激に進行する。この酸化反応は、表面に形成された酸化物層と酸化されていないTiN層の界面で起こる。X線光電子分光分析の結果から、酸化物層内には窒素が殆ど含まれていないことも明らかとなった。 4)AlN/TiN二層薄膜を高温酸化させた結果、表面に形成される酸化物層の厚さは、TiN単層薄膜の場合に比べ著しく薄くなり、700℃でも酸化反応はごく表面層に限定されることがわかった。また、600℃までの熱処理では、AlN/TiN界面で反応は生じないが、700℃以上では界面で拡散が進行し始める様子が認められた。 5)上で述べた通り、TiN薄膜にAlN薄膜を積層することで耐酸化性が著しく向上するが、この時に必要なAlN層の膜厚は50μm以下であることがわかった。
|