1.弾塑性体の有限変形解析 構成式関係では、大びすみ・大変形域の塑性移動硬化則に客観性保持のためのスピン以外に非共軸性を表す塑性スピンで補正する必要があることが指摘されているが、この塑性スピンは降伏曲面の回転硬化と等価であることを示した。せん断問題を例にGreen型とJaumann型亜弾性体についてその影響を検討した。また内部時間理論を内部変数理論の立場から、熱力学的考察と結晶塑性との関係について論じた。内部変数を結晶体の塑性すべり変形とみなして、Onsagerの相反関係とRice局所依存性を適用し微視的な結晶レベルの構成式を求めると共に、塑性ひずみの等方性の仮定のもとに巨視的構成式を導き、温度変化がある場合に構成式を拡張した。 構造解析関係では、平面ブロックの大変形弾塑性挙動を有限要素法を用いて解析する場合、形状関数と数値積分(完全積分と低減積分)の影響を検討した。また変位以外に圧力を未知数とする混合法の定式化と、その数値解析プログラムを開発している。 2.超弾性体の有限変形解析 非回転ひずみを用いた場合の混合型変分原理を定式化した。またゴムを鉄を交互に重ねた積層ゴムの大変形解析を変位型有限要素を用いて解析した。形状関数と鉄層の影響を検討し、形状関数としては低次の線形要素の方が高次の2次要素に比べ、大変形域まで安定して解析できることを示した。また鉄層は垂直方向の軸力に対して横方向の変形を拘束するため軸剛性を上げるのに役立つが、せん断変形はその変形の積み重ねとなるためせん断剛性にほとんど無関係であることを示した。
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