研究概要 |
構造物中に生じたき裂の位置,形状及び寸法を精度良く測定することは,構造物の破壊力学的手法による安全管理,余寿命評価等行う際に重要である。本研究では,実用的な立場から,構造物使用中にオンラインでき裂が生じたかどうか,また,生じた場合その位置および形状を測定できる方法を開発することを目的としている。この目的のため,問題を一種の逆問題と考え,磁壊力学および人工知能援用によりき裂の位置・形状を同定する手法を開発する。 申請者は,補助金によりパ-ソナル・コンピュ-タを購入し,それをもちいて,周辺のひずみ信号からき裂の位置・形状を同定するための数値的検討を行い,以下のような各問題解決の段階を経て,しだいに実用可能な状態に近づいて開発を進めて来た。 (1)はじめに基礎的研究として,無限板中に存在する内部き裂の位置寸法および外部荷重を,き裂を囲む閉曲線上の数点で測定したひずみ情報に基づいて同定する解析を行った。その結果,同定される未知数の数が7つあり,すべて任意であるにもかかわらず,体積力法と人工知能の援用によって,精度よく,かつ少ない計算時間で同定できることが明かになった。 (2)実際上疲労き裂等は主に応用力集中が生じる切欠きの近傍から生じる。このことを考慮して,切欠き問題として円孔が存在する場合を取り上げ,測定した周囲のひずみの分布に関する多点のデ-タに基づして,円孔縁き裂の位置を求める解析を行った。
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