研究概要 |
本研究では,レ-ザスペックルを用いた非接触の金属材料の損傷検出法について検討した。この方法は金属材料の表面にレ-ザ-を照射した場合に生じるスペックルパタ-ンが表面状態によって変化する現象を利用して塑性変形量あるいは疲労損傷の度合を推定しようとするものである。この方法を用いて測定を行なう場合、重要なことはレ-ザスペックルの分布を定量的に解析し,客観的な量として表わすことである。本研究では,コンピュ-タを用いた画像処理によってスペックパタ-ンを定量的に解析することを試みた。スペックルパタ-ンをCCDビデオカメラを通して画像処理システムに入力した。本研究で利用した画像処理システムはパ-ソナルコンピュ-タを中心としたもので,画像メモリ-の解像度は512×512である。スペックルパタ-ンを解析するためのソフトウェアはすべてパ-ソナルコンピュ-タ上でC言語を用いて自作した。画像処理を用いることによって非常に迅速に定量的な解析が可能になることがわかった。また,この方法を用いて塑性ひずみを測定する場合,スペックルパタ-ンの特徴を正確に表わすパラメ-タを求めることが必要である。これまで他の研究者が用いてきたものは余り良いものでなく,塑性ひずみとの間に一意的な関係がなく,パラメ-タから塑性ひずみの値を求めることが出来なかった。本研究では画像処理の利点を生かした新しい統計的なパラメ-タを考案した。このパラメ-タはスペックルパタ-ンを正確に表わしており,スペックルの輝度の違いなどの条件の違いによる影響がきわめて少ないことがわかった。実際にアルミニウム合金を用いて実験を行なった結果,このパラメ-タと塑性ひずみの大きさとの間には一意的な関係があり,非常に簡単な式で表わせることがわかった。したがって,この関係を用いれば,パラメ-タの値から逆に塑性ひずみの大きさを求めることが出来ることになる。
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