研究概要 |
精密機械部品として用いられるファインセラミックスを高能率・高精度で磁気研磨加工し得るダイヤ磁性砥粒の開発とその研磨性能の究明を本年度の研究課題として実験し,以下の成果を得た.(1)ダイヤ磁性砥粒の製作法,すなわち,電解めっき条件と無電解めっき条件を明らかにした.(2)電解メッキ法により製作したダイヤ磁性砥粒の研磨性能を平面磁気研磨実験を行って明らかにした.(3)無電解めっき法により製作したダイヤ磁性砥粒の研磨性能を調べ,電解めっき法による場合と比較し,これが同等の性能をもつことを明らかにした.(4)ダイヤ径,磁性砥粒母体(鉄粉)の形状と粒径,加工回数等が研磨量と表面粗さに及ぼす影響を明らかにし,加工メカニズムについても考察した.(5)ダイヤ磁性砥粒の他の製作法として,化学的接着法による方法を外部機関と打合せ,新規に製作し,実験に供試した.(6)高価なダイヤ磁性砥粒(7〜10万円/100g)の低廉化を図り,粒径の大きい鉄粉をダイヤ磁性砥粒に混合して用いれば,研磨能率が著しく向上できることを見いだした.(7)この鉄粉混合ダイヤ磁性砥粒の研磨性能(研磨能率向上効果)に及ぼす鉄粉粒径と鉄粉混合割合の影響を実験的に調べ,粒径と混合割合に適値が存在することを明らかにした.その加工機構についても考察した.(8)鉄粉に酸化クロムを混合した酸化クロム混合鉄粉を用い,乾式磁気研磨によっても窒化けい素セラミックスが平滑加工できることを明らかにした.(9)上記の中,(1)〜(7)の諸事項は研究論文として投稿し,『砥粒加工学会誌,36巻2号(1992年4月)』に掲載が決定している.(10)1年間にわたる研究成果を精密工学会・日本機械学会学術講演会で発表し(4編),精密工学会誌に論文投稿中である.(11)平成4年度は,従来からの計画以外に「セラミックボ-ルの精密磁気研磨」の研究も追加する.これはアメリカのオクラホマ州立大学教授R.Komanduri博士との共同研究テ-マである.
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