研究概要 |
平成3年度は画像処理用プログラムの高速化とフィ-ルド試験による問題点の抽出を行い,計測デ-タからそれ以降の放電条件を更新する適応制御技術の確立を主眼として実用化研究を行った。まず,前年度の画像デ-タ処理プログラムが長時間を要することから,パ-ソナルコンピュ-タの周辺装置を増強し,プログラム言語の変更を試みた。それとともに,計測原理の見直しを一部行い,回折強度パタ-ンと像面スペックル強度パタ-ンの両者を取り扱える光学系構成に修正し,パタ-ン形態と周波数情報の両方を定量化する内容とした。計測ユニットと被測定面との相対位置決め制御を受光した強度パタ-ン情報から自動的に行わせる手法は,画像デ-タの処理時間が長くかかり運動制御情報の発散性を伴うことから,NCプログラムのロケイションデ-タによってオ-プンル-プ方式で能動的に行う方が実用的であることが認識された。また,前年度では加工液の汚れに起因する強度分布の乱れ成分を時間平均化手法により取り除くことができる見通しを得たが,フィ-ルド試験の結果,デ-タの再現性に劣ることが判明した。そこで,表面性状が既知の2種類の参照面を加工槽内に置き,加工液の汚れが強度パタ-ンに及ぼす影響を計測時点の直前に定量化し,オリジナルデ-タから統計学的に差し引く手法を試みた。実機による広範な実験により,放電加工面性状の異方性は殆ど考慮しなくてよいこと,および,表面加工性は必ずしも表面粗さのみと対応しないという結果が得られた。なお,NC放電加工機の制御装置との本計測システムの連結は物理的な障壁が大きかったために実施することができなかったが,表面加工性のインタ-プロセス監視を行い後続の放電条件を変更することは十分に可能であることが分かった。ただし,放電条件の最適化制御は加工機の特性に依存させて個々に対応しなければならない問題として残された。
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