研究概要 |
自律分散型生産システムに適合する加工用機械構造の設計手法の確立を目的として,平成2年度に実施した研究の内容をまとめると以下のようになる. 1.自律分散型生産システムの基本構造の分析 多数の分散した生産システム要素が自律的に意思決定を行なうことで生産プロセスを実行する自律分散型生産システムの基本構成を分析し,各生産システム要素が持つべき機能を分析,整理した.加工用機械や搬送装置などの生産システム要素の持つべき基本機能として,意思決定機能,生産設備の制御機能,ならびに通信機能が必要になる. 2.自律分散型生産システムにおける意思決定構造の検討 各生産システム要素が,自身の意思決定基準に基づき生産の管理ならびに制御を行なうための意思決定構造について検討した.特に,生産対象製品の動的な変更および生産設備の故障などの外乱に対処するための自律的な意思決定を実現するたの構成を考察し,対象指向のモデリング手法を適用して,全体の意思決定構造ならびに各生産システム要素の意思決定構造を明確にした.また,このような意思決定構造により,生産システム全体を管理ならび制御することの可能性を検証するため,簡単な生産システムのモデルを作成し,シミュレ-ション実験を行なった. 3.加工用機械構造の精度設計のための基礎解析 対象製品の要求精度を満足できる加工用機械構造を設計する手法の開発を目的として,切削加工における送り運動誤差より生じる加工面の幾何学的誤差を評価する方法を開発した.この手法は,複雑な送り運動軸の組合せを考慮しているため,曲面加工を含む広範囲の超精密加工プロセスに対して適用できると考えられる.また、この手法をいくつかの曲面加工プロセスに適用し,加工面の幾何学的誤差を評価した。
|