1.水素化チタン粉(-325または-100mesh)を噴霧アルミニウム粉(3または32μm)と等モル比に混合し、10mm×10mmの金型で高さ10mmに、800MPaで加圧成形した。この試料の焼結加熱中の化合反応は示差熱分析の発熱ピーク前から始まるが、発熱ピーク時のアルミニウムの溶融により焼結密度減少と開放気孔率増加が急激に起こった。反応が起こる温度域(873から1173K)の加熱速度が遅い方(例えば5K/min)が膨張率は低く密度は高くなるので、それ以外の低温や高温では速やかに加熱し(例えば20K/min)、総処理時間を短縮した。1703K-60min保持後にTiAlが第一相となり、気孔は丸くなり数も減少した。微粉同士の組合せが最も均質化が速く寸法変化が小さく密度が高いから、機械部品原料として最適である。 2.単軸加圧では軟質のアルミニウム粒子が変形して硬質で変形しない水素化チタン粒子の間を埋め、後者は圧縮方向でよく接近するので、単位長さ当たりの後者同士の接触境界数は直角方向よりも圧縮方向の方が多くなる。この配置が加熱初期に水素化チタンが分解してチタン粒子になっても維持され、アルミニウムがチタン粒子の境界に浸透したり、粒子内部に拡散して骨格を膨張させる。他方焼結が進めば粒子同士が接近する。この機構で、膨張にせよ収縮にせよ寸法変化は圧粉方向の方が大きくなる。 3.単軸圧縮した生成形体の冷間等方圧縮が異方性に及ぼす効果の有無は、その後の発熱反応による膨張が非常に大きいために分からない。また高密度化のために試みた冷間再圧縮は、一回目の焼結で得られた試料が脆いために圧力をかけると砕けてしまい、成功しなかった。なお連続焼結HIPの前提となる気孔の孤立球状化は、本実験の最高温度1703Kで達成されなかったので、将来、さらに高温に加熱できる炉を準備して再度試みたい。
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