研究概要 |
昨年度までに平滑な修正キャリヤ(加工中に摩耗しない)によるラップ定盤の摩耗特性に関して理論的及び実験的検討が既になされていた.今年度(平成3年度)においては,加工中に修正キャリヤとラップ定盤が共に摩耗する場合について検討し,摩耗したラップ定盤の各種修正キャリヤによる面精度回復技術に関して理論的及び実験的検討をすると共にラップ定盤の摩耗形態を問わず修正加工のできるキャリヤの形状についても検討した.その結果,以下の事柄が明らかとなった. 1.ラップ定盤及び修正キャリヤが摩耗するとそれらの摩耗状態に応じて加工圧力は変化するために,加工圧力を補正することによって理論的な計算を行った.その結果は実験値とよく一致した.また,ラップ定盤及び修正キャリヤ両者の摩耗状態を考慮した場合において,ラップ定盤並びに修正キャリヤの摩耗特性に関する計算結果は実験結果とよく一致した. 2.ラップ定盤や修正キャリヤの摩耗状態に応じて加工圧力が変化するため,両者の摩耗特性はある程度の時間が経過した時点でほぼ決定され,それ以降はそのプロファイルの形状を維持しながら摩耗量のみが増加することが明らかとなった. 3.今回検討した理論結果を基に最適修正条件を推測できることが明らかとなった. 4.矩形修正キャリヤを用いると,ラップ定盤の摩耗状態に依存せず劣化したラップ定盤の表面を十分修正加工できることが明らかとなった. 5.外径がφ310程度の小型ラップ盤を用いた場合にはラップ定盤の表面に加工された溝が摩耗特性に及ぼす影響はほとんど無かった.
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