マシン油、タ-ビン油及びギヤ-油の場合について、浸硫処理(約170℃のアルカリ金属塩浴中に5分間浸漬し、電流密度を3.2A/dm^2として10分間処理を行い、浸炭層上に硫化鉄の拡散層を重層に形成する)した鋼球及び歯車に関する四球試験及び歯車試験を行い、浸硫被膜の摩擦特性、焼付き強さ及びスコ-リング強さを明らかにした。また、四球試験と歯車試験による試験結果の相関性について検討を行ったこれらの試験結果より下記のことが明らかになった。 1.未処理の歯車対の場合と比して、浸硫処理を施した歯車対の場合の摩耗の増加量は大きい。この傾向は四球試験の場合の摩耗こん直径の変化とよく一致する。また、潤滑油に関しては、他の潤滑油に比して粘度の低いマシン油を使用した場合の歯車の摩耗が顕著である。 2.浸硫処理の有無及び潤滑油の種類の違いによる歯車騒音や歯車箱の振動加速度の相違は認められない。 3.浸硫処理を施した歯車対の場合のスコ-リング強さは未処理の歯車対の場合と比して1.5〜2.0倍大きく現れる。この傾向は四球試験の場合の焼付き強さとほぼ同様であり、四球試験による焼付き強さと歯車試験によるスコ-リング強さのそれとの相関がかなり認められる。一方、潤滑油の種類の違いによるスコ-リング強さが最も低く、ついでタ-ビン油、ギヤ-油の順に潤滑油の粘度の上昇に伴ってスコ-リング強さは上昇する。
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