研究概要 |
前年度に行った、磁場を印加した場合のU字管内の磁性流体振動流特性の測定結果から、磁性体粒子の凝集が管内振動流に大きな影響を与えることを確認した。これをもとに、本年度は、磁極間に生ずる磁性体粒子の凝集による粒子濃度分布がこの振動流に与える影響を定量的に把握する必要から、磁気光学効果を応用した粒子の凝集に関する実験的研究を行った。すなわち、アクリル製容器内の幅10mm,厚さ0.5mm,高さ60mmの薄膜状の磁性流体プラグに,薄膜の幅方向に非一様定常磁場を印加して,厚さ方向の光の透過度と偏光成分を測定した。その結果、1.異常光の透過量に関しては、磁場の強さを変えた場合に、印加した磁場の強さの範囲内で、いずれの場合も磁極中心付近では光を通さない凝集構造を形成し、この凝集領域は磁場の強さの増加と共に両磁極側にひきつけられて小さくなることが判明した。また、プラグ幅の中心付近では、いずれの高さでも透過度は一定で、その値も小さく、これに対して、磁極中心付近を除いたプラグ幅の両側では透過光量が増加することが判った。また、本実験結果から、マグネタイト粒子の体積濃度の減少と共に異常光の透過量が増加するという他の報告の場合と同様の構造をもつ粒子の数密度分布が、本実験下のプラグ内にも生じていることを確認した。2.異常光の回転角は磁場に関して点対称分布を示すことから、凝集構造は、プラグ高さ方向中心に関して互いに逆の方向へ配向した粒子の凝集であることが確認された。3.磁場を印加した状態で時間経過による透過光量を測定した結果、透過光量は磁場の印加後、一時的に減少し、その後増加し、さらに時間が経つと、ある値を中心にして振動することが確認された。これから、定常磁場下でも粒子が運動することが判った。さらに、磁性流体の種類および膜の厚さを変えた場合の、また高さ方向の磁場の影響についての実験を継続中である。
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