磁性流体振動流を利用した磁性流体ダンパ-や磁性流体アクチュエ-タなどの応用開発に関連させて、磁性流体管内振動流に関する研究の一つとして、U字管内の磁性流体の振動流特性についての研究を行った。その結果振動数に対する振幅の減衰比の変化をしらべることにより、磁性流体プラグの磁極付近での流動特性が管内振動流特性に大きな影響を与えることを明らかにした。次に、U字管の内径を変えた場合の最大振幅時のプラグ長さと振動数の測定結果をもとに、減衰係数及びプラグの損失係数を検討して、プラグ内振動流には摩擦損失以外に内部流路の変化による損失が生じることを明らかにした。 以上のことは磁極近傍の磁性体粒子の凝集に原因があると考えられるので、磁気光学効果測定装置を用いて、10mm×0.5mm×60mmの薄膜状の磁性流体プラグに非一様定常磁場を印加した場合の光の透過量の変化と偏光の様子をしらべた。その結果、異常光の透過量の変化の様子から、プラグ内には磁極付近で粒子の密度分布が生じること、一定磁場下の凝集に磁場の強さをさらに増大させて印加すると、粒子が両磁極側にひきつけられて粒子の凝集領域が小さくなることを明らかにした。また、異常光の回転角は磁場に関して点対称分布を示すこと、透過量はある程度時間が経過すると、ある値を中心に増加・減少を繰り返し振動することから、定常磁場下でも磁性体粒子が運動することが確認された。
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