研究概要 |
タ-ボ機械の騒音発生のメカニズムについては不明の部分が多いが,発生した音のダクト伝搬特性については比較的明確になっている。その結果によれば,圧力変動は伝搬するモ-ドと減衰するモ-ドの二つに分けることができる。一般に高次のモ-ドは伝搬し難く,低次のモ-ドは伝搬し易い。この低次のモ-ドがタ-ボ機械外部に騒音となって放出される。この研究は軸流送風機において発生する圧力変動の半径方向モ-ドを低次のモ-ドから高次のモ-ドへ変換することにより,騒音の低減を図ったものである。 最終的な目的は騒音の全スペクトル範囲にわたって,能動的に制御し低減を図ることであるが,低減のメカニズムを探るため,また,基礎的デ-タを得るために,まず,最も支配的な周波数成分である翼通過周波数騒音の低減を試みた。この翼通過周波数のモ-ドを非伝搬の高次モ-ドに変換するために,動翼回転に同期する正弦波をつくり出し,この信号を送風機外胴に設置された二つのスピ-カから段落部に送り出す。二つの信号は振幅位相とも独立に変えることができ,モ-ド変換に最適な大きさを沢めることができる。 実験は,振幅と位相の二つをパラメ-タにして行われた。送風機内部の圧力変動および送風機外部における音圧変動を測定した。その結果,理論的に予測される振幅と位相で確かに騒音が低減されることが明らかになった。また,このモ-ド変換に伴う低減の機構を明らかにする基礎デ-タが得られた。最適条件における低減量は全騒音で約11dB,翼通過周波数で約23dBとなり,きわめて大きな低減を得た。
|