研究概要 |
前年度に引続き,二つのスピ-カ-を使って翼列干渉によって発生した圧力変動にモ-ド変換を施すことにより騒音の能動制御を試みた.前回の騒音計測は,回転軸に近い送風機外部の一点で,この能動制御の効果をみたものである.その結果,翼通過周波数で23dB,全帯域騒音で11dBの大幅な低減が達成された. 今年度は,低流のメカニズムの詳細を知るために,騒音計を他の二点にも設置し,同様な騒音計測を行うとともに送風機外胴壁の圧力変動も同時に測定した. その結果,実際に起っている変化は極めて複雑であり,無響室に対する送風機の設置状況等の幾何学的条件,気温による波長の変化等の物理的条件が微妙に影響してくることが明らかになった.これらの影響とスピ-カ-を最も単純な構成である二つだけで制御していることにより,低減された騒音には複雑な指向性が現われることが判明した.そして,理論通りの結果は軸流送風機の回転軸に近いところで成立することが確かめられた。しかし,理論的に予測される値から外れる点での騒音レベルは相対的に低く,全体のエネルギ-には大きな寄与をしないことが分った.したがって,前年度の測定点での結果をこの送風機の騒音の代表と考えても問題にはならないことが判明した。 原理的にはこの方法で十分な騒音低減が可能であることが明らかとなった。したがって,さらに多くのスピ-カ-でより細かく制御することにより,理論的に予測される結果が送風機外部の任意の位置で得られることが期待できる.
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