研究概要 |
平成2年度までに,試料気体中に混入したヨウ素のレ-ザ誘起けい光(LIF)を用いた希薄気体流の温度計測法を開発した.けい光強度は流れ場の密度,温度および照射するレ-ザ光の周波数に強く依存する.特に,温度は基底電子状態の各エネルギ準位に存在する分子の割合を決定するため,照射するレ-ザ光により励起電子状態への遷移を起こす分子の数と密接に関連している.したがって,波長の異なるレ-ザ光を流れ場へ入射した際には,流れ場の温度に依存してそのけい光強度が異なる結果となる.本研究では,波長の異なるレ-ザ光の照射による2つの可視化画像のけい光強度の比から温度が計測できることを示した.すなわち,けい光強度への密度依存性は,けい光強度の比をとることにより消去され,けい光強度の比は温度のみの関数となる.したがって,実験的に,けい光強度の比が求められれば,これから温度は一意に決定される.本研究では,この温度計測法を流れ場の温度変化の大きい,超音速自由噴流に適用し,よう素のX(v^″=0)→B(v^'=43)の遷移中の種々の吸収線の組合せについてその有効性を検証した.その結果,P(2 6)/R(2 8)とP(1 6)/R(1 8)の吸収線の組合せが最も温度計測に適しており,室温以下の温度場では±2Kの範囲で計測が可能であることがわかった.また,レ-ザ光をシ-ト状にし,高感度CCDカメラを用いることで二次元的な温度計測を可能にした. 現在,温度場の疑似カラ-グラフィック表示のためのソフトウェアの開発が進行している.
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