研究概要 |
ベ-ンレスディフュ-ザの旋回失速に果たす壁面境界層の役割を調べる事を目的に,ディフュ-ザ壁面を多孔板で構成し,任意の半径位置からの境界層吸込が可能な実験装置を製作した。周方向に位相が異なる非定常擾乱の印加が可能となる様な構造とし,ディフュ-ザ入口変動圧力,ディフュ-ザ内の幅方向の速度分布の測定の為の測定孔を設けている。非定常擾乱の印加に対する周波数条件からディフュ-ザの内外径比を1.8とし,ディフュ-ザ幅/内径比を0.1とした。 先ず最初に,ディフュ-ザ壁面全体をフィルムでおおい,旋回失速の発生状況を調べた。羽根車の設計流量(φd=0.09)に対し過大な流量φ=0.133からセル数2,3の旋回失速が生じ始め,その伝播速度比はほぼ0.1であった。 次にディフュ-ザ壁面を多孔板とし自然通気が可能とするとφ=0.12付近で伝播速度比0.2程度の微弱な旋回失速が見られたが,そのレベルは極端に低く,伝播速度比0.1程度の強い旋回失速は消失した。しかしディフュ-ザ内の圧力回復は小さく,旋回失速消失の原因は自然通気によるディフュ-ザ内流れ角の増大によるものと考えられる。 ディフュ-ザ入口半径及びディフュ-ザ内外半径中央からの境界層吸込を行なった。本来旋回失速が生じる流量域では,吸込みによる旋回失速防止効果は見られなかった。また旋回失速初生流量付近では,主流量の減少により逆に旋回失速を誘発することもあった。但し吸込後の主流量を等しくして比較すると,吸込みにより初生流れ角が減少したと見られる場合もあった。今後ディフュ-ザ内の速度分布測定を行ない吸込による境界層逆流の防止効果,最適吸込位置について検討すると供に,吸込以外の方法による境界層制御も試みて,ディフュ-ザの旋回失速に果たす境界層の役割について検討する予定である。
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