研究概要 |
加振器・パワ-増幅器を購入し,それらを用いて実験装置を制作した。FFTアナライザ-を用いた信号解析から磁性流体気液二相流における線形音波の位相速度減衰率を求め,位相速度が印加磁場により著しく増大することがわかった。同時にボイド率依存性も調べたが,ボイド率の効果を除去しても,位相速度に対する磁場の効果は大きかった。これに対する理論的研究としては,導電性磁性流体を想定して,Wijinganrdenモデルに基く基礎方程式群を平衡状態の回りで線形化し音波の分散関係式(波数hの関数としての周波数W(h))を求めた。W(h)の実部から位相速度,虚部から減衰率が得られる。これらの印加磁場,ボイド率依存性を数値的に求めた。その結果,導電率の増加に伴いロ-レンツ力にり位相速度が減少するなどの興味深い知見が得られた。しかし,計算結果と実験結果を比較すると,観測された位相速度の大きな磁場変化は計算からは定量的に説明できなかった。その原因は目下検討中である。 また,同じ装置を用いて,磁性流体気液二相流における衝撃波の伝播に関する実験を行い,非線形波動に特有な突っ立ち現象を観測した。弧立波の伝播速度は磁場の強さとともに増加した。この現象を理解すべく,圧力波の伝播を記述する非線形波動方程式を導出して数値計算を行い,突っ立ち現象が確かに説明できることがわかった。しかし,観測された伝播速度の磁場に対する強い依存性はやはり理論では説明できず,これも目下検討中である。
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