平成3年度までに磁性流体気液二相流中の音波の分散関係式を理論的に求め、その数値計算によって得られる位相速度・減衰率の印加磁場・ボイド率依存性を、実験結果と比較した。しかし、観測された位相速度の大きな磁場依存性は、磁気圧の効果を考慮した計算からは定量的に説明できなかった。実験状況から、管断面のボイド率分布が磁場勾配によってかなり影響を受け非一様になることがわかる。本年度はこの事実に注目し検討を行った。磁場を印加すると、磁性流体が磁極側に集まり、逆に気泡は反対側に遠ざかるため、見かけ上断面充填比率としてのボイド率が磁場によって減少する。したがって、ボイド率と液圧の関係α=κ/(P+κ) ここで、 κ=α/(1-α) P_0 を用いて、逆に液圧を変化させて通常の二相流の分散式から、その時の音速・減衰率を計算すると、両者とも実験値と同様の傾向を示す。特に、減衰率の実験値は印加磁場によって一桁大きい値となり、計算値と定量的に合う。さらに超音波発信子を用いて400kHzの超音波を磁性流体液面に向けて発射し、その下方から空気を吹き込んで二相にし磁場をかけた場合とかけない場合かけない場合の表面にできるリップル(その間隔から波長がわかる)の間隔を見ると、僅かに磁場によって波長が伸び、音速が速くなるのが目測されるものの、通常の理論理論どおり気泡の固有振動数以下のように空気によって音速の激減はみられない。こもことからも、印加磁場下の磁性流体の音速・減衰の挙動は、見かけ上、通常二相流の液圧が単に変化した場合と同じ挙動を示すと考えられる。
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