研究概要 |
電磁流体力学(MHD)発電は、従来の蒸気タ-ビン方式の火力発電と比較して高い発電効率が期待できるため、世界各国で積極的に開発が進められているが、現在、MHD発電法で最も大きな問題とされているのは、発電時に発生する出力電圧・電流の揺らぎである。発電出力の揺らぎに直接関係するのはチャネル内プラズマの電子密度と導電率の揺らぎであるが、電子密度と導電率の高精度測定法として遠赤外レ-ザを用いた方法が開発されてきた。本研究では、遠赤外レ-ザ法の光学系を改良し、従来不可能であった電子密度と導電率が同時に計測できる光学系を設計した。この新しい光学係をカリウムシ-ド灯油燃焼ガスプラズマに適用して実験的研究を行い、同方法の有効性を実証した。本年度は、昨年度に完成した上記システムを発展させ、以下の成果を得た。 1.従来,遠赤外レ-ザ光源としては炭酸ガスレ-ザ励起メタノ-ルレ-ザを使用してきた。同レ-ザは発振波長が100〜600nmの間で変更できる特徴がある反面、出力が小さい、ガウシアンビ-ムが得にくい、などの欠点を有する。本年度はより安定した計測システムの確立を目的とし、シアンレ-ザを構築した。本レ-ザからは高出力で良質の遠赤外レ-ザビ-ムが得られ、このレ-ザを用いて電子密度の測定ができる事が示された。 2.昨年度はレ-ザ検出器として応答速度の遅いパイロ素子を用いたが本年度は検出器に100kHZまで測定可能なショットキィバリアダイオ-ドを用いた。これにより、MHDチャネル内の電子密度の揺らぎの測定に成功したが、MHDチャネル内の電子密度の揺らぎを測定した例は過去になく、本研究で初めて達成された高度な計測技術である。
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