研究概要 |
吹出しは境界層を制御するための手段として多くの分野で用いられ,流体機械や翼などの性能向上に大きな貢献をしている。本研究は、吹出し速度比を種々変化させた条件のもとで、吹出しを伴う管内乱流の乱流構造を実験的に解明することを目的として行われたものである。実験に際しては、最初に吹出し開始前から吹出し開始点近傍、さらに十分発達した領域までの合計12個所の流れ方向位置において速度分布、乱流エネルギ-などの測定を行った。ついで、代表的な流れ方向位置においてエネルギ-スペクトル、自己相関、確率密度関数などの測定を行うことにより、乱れの統計的性質を調査した。さらに、2種類の条件付き抽出法を適用して乱流中の組織的構造であるバ-スト現象の解析を行った。本研究により得られた主要な成果を以下に要約して示す。 1.吹出しにより壁面近傍での速度は減少し、壁面から離れた領域での速度は増加する。減速と増速とが逆転する位置は、吹出し比の相違によらず流路幅のおよそ0.15倍壁面から離れた位置である。 2.乱流エネルギ-、レイノルズ応力は吹出し比が大きくなるにつれて増加する。吹出しを伴う管内乱流では吹出しによる加速効果も現れるが、その効果は管中心部に極めて近い領域を除いて観察されない。 3.エネルギ-スペクトルに及ぼす吹出しの影響は壁面近傍に限定される。また、いずれの吹出し比に対しても局所等方性乱流の存在を示す波数領域が存在する。 4.バ-スト現象を解析した結果より、レイノルズ応力や乱流エネルギ-が吹出しにより増加するのは、吹出しによりバ-ストの発生頻度が増し、かつその継続時間も長くなること、ならびにバ-ストのスイ-プ事象からの奇与が増大することが原因となっていることが明らかとなった。
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