研究課題/領域番号 |
02650156
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩路 昌宏 京都大学, 工学部, 助教授 (80135524)
|
研究分担者 |
山根 浩二 京都大学, 工学部, 助手 (10210501)
池上 詢 京都大学, 工学部, 教授 (70025914)
|
キーワード | 非定常乱流燃焼 / 混合気濃度不均一 / レ-リ-散乱法 / ノック / ディ-ゼル火炎 / すす粒子雲 / レ-ザシ-ト法 / 確率過程論モデル |
研究概要 |
本年度は、これまでに開発・確立した統計的扱いを基礎とする新しい燃焼計測法およびモデリング手法に基づき、実際の内燃機関における非定常乱流燃焼過程の解明を目指して、主に次の事項を実施した。 1.火花点火機関における混合気濃度不均一とその作用 レ-リ-散乱法によって燃料濃度空間分布の測定を行い、そのサイクル毎の変動から混合気濃度の不均一を推定した。その結果、吸気ポ-トへの燃料噴射ではキャブレタ-による燃料供給に比べて圧縮終りまで不均一が残ること、および量論混合比では均一なほどノックを発生し易いことを明らかにするとともに、ノック限界圧縮比の増加に伴う効率向上を示した。 2.ディ-ゼル火炎の構造 圧縮点火機関の燃焼過程中に生じるすす粒子雲を種々の運転条件について可視化し、その空間分布を画像処理することによって、すすは高温の火炎領域には存在せず、火炎中の燃料過濃領域の冷却によって生じることを示した。そらに、燃料噴射量、噴射時期および燃焼室形状による変化を調べることによって、すす生成に及ぼすガス流動および乱れの作用について考察した。また、直接高速度火炎写真の画像解析によって燃焼過程中の流動および乱れ強さ、乱れスケ-ルを求め、とくに高圧噴射による乱流混合速度の増加を示した。 3.非定常乱流拡散燃焼過程のモデリング 濃度・温度の不均一と燃料ー空気乱流混合を確率過程論的に扱うモデルを改良して、汎用性と精度の向上を図った。これにより,ディ-ゼル燃焼の熱発生率経過および有害排気物濃度がよく予測できることを示すとともに、二色法を用いて測定した火炎温度分布と比較して、とくに高温領域の時間変化がよく再現できることを示した。さらに、温度と窒素酸化物生成とに相関を調べることにより、高圧噴射では量論比傍の混合気が多く生成し、その高温部から窒素酸化物を多量に生成することなどを明らかにした。
|