| 研究概要 |
往復式内燃機関の基本形態である非定常乱流燃焼において,高速度で変動する現象を解明するには従来の時間平均処理は適用できない.そこで,本研究では統計的方法による新しい燃焼診断技術を開発・確立するとともに,非定常乱流燃焼過程中における流れおよび火炎構造の特性値を記述することを目的とし,次に事項を実施した.
1.乱れ測定法の検討 乱流中の粒子のランダムな動きを推定することより予測した局所変動速度の統計量を使えば,非定常乱流の計測法として流体の相対速度を検出するレ-ザホモダイン法が有用であることを明らかにした.さらに,実働燃焼場における高速度写真の画像解析により乱れの特性量を求める方法を示し,ディ-ゼル燃焼過程中の乱流混合速度に及ぼすスワ-ルおよび高圧噴射の作用を明らかにした.
2.拡散燃焼過程中のすす生成 圧縮点火機関の燃焼室内をレ-ザシ-ト法により高速度撮影し,すす粒子の空間分布を調べた.その結果,すす粒子雲は火炎領域前縁の燃料過濃領域の冷却によって生じることを示すとともに,燃料噴射量,噴射時期および燃焼室形状による変化に基づき,すす生成の及ぼすガス流動および乱れの作用について考察した.
3.非定常乱流拡散燃焼過程のモデリング 濃度・温度の不均一と燃料ー空気乱流混合を確率過程論的に扱うモデルを改良して,予混合期間と噴霧内への空気の巻き込みとを考慮すれば,高圧噴射を含む広範囲の機関運転条件で熱発生率経過および有害排気物濃度の実測をよく再現できることを示した.
4.火花点火機関における混合気濃度不均一とその作用 レ-リ-散乱法によって混合気濃度の不均一を測定し,吸気ポ-ト燃料噴射では圧縮終りまで不均一が残ることを示すとともに,量論混合比では混合気濃度が均一なほどノックし易く,圧縮比が低く抑えられることを示した.
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