本研究は、蒸発管のように加熱により流れに加速を伴う気液二相流を空気-水系で模擬し、その界面波動特性を実験的に調べることを目的としている。水平長方形流路の実験装置を用いて、流動様式の遷移に対する加速の影響、および加速区間における擾乱波の生成、成長、衰退の機工を調べた。装置の概要と主な結果は以下の通りである。 (1)水平流路は幅50mm、長さが、助走部1840mm、加速部500mm、下流部1750mmで構成されるアクリル樹脂製であり、加速部では流路高さを30mmまたは20mmから10mmまで減少させている。液膜厚さは電気コンダクタンス法で測定した。 (2)目視観察により流動様式線図を作成し、従来の研究と比較・検討した結果、気体速度の大きい場合は単位流路幅あたりの液体流量と気体のみかけ速度の関係でよく整理できるが、気体速度の小さい場合も含めると、液体、気体のみかけ速度をパラメータとして分類・整理したほうが適切であることがわかった。 (3)加速部の各断面において測定した液膜厚さの時間変動の解析により、加速に伴う波形の変遷を明らかにした。助走部で発生した2次元波がペブル波、擾乱波、リップル状の波へと遷移する際、波高の大きい波は増幅されるが、小さい波は減衰し消滅していく状況が観測された。さらに、相互相関のピーク値から波の速度の変遷を定量的に示した。 (4)液体スラグの崩壊時に類似した波が、加速により擾乱波へと遷移する状況が明らかとなり、空気-水系二相流による模擬実験の有効性が確認された。
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