研究概要 |
水,メタノ-ル,エタノ-ル及びプロパノ-ルの4種類の物質の組み合わせから得られる可溶性二成分混合蒸気が水平な平滑銅管(外径18mm,有効長さ385mm)上で体積力対流凝縮する場合について凝縮形態の観察と熱伝達の測定を行い,それらに及ぼす物質の組合せ,組成比及び熱流束の影響を検討し,以下のことを明らかにした. 1.アルコ-ル類からなる二成分混合蒸気においては,組成比及び熱流束に依らず凝縮形態は平滑な膜状となる. 2.アルコ-ル類と水からなる二成分混合蒸気においては,アルコ-ル濃度及び熱流束によって滴状,縞状,リング状及び膜状の四つの異なる凝縮形態が現れる.(1)アルコ-ル濃度が低い場合の凝縮形態は,熱流束に依らず滴状である.(2)アルコ-ル濃度が高い場合の凝縮形態は,熱流束の増大とともに滴状,縞状,リング状及び微少なリップルを伴った膜状となる.(3)アルコ-ル濃度がさらに高い場合の凝縮形態は,熱流束の増大とともに縞状,リング状及び微少なリップルを伴った膜状となる.(4)共沸点近傍の凝縮形態は,熱流束に依らず平滑な膜状となる. 3.凝縮形態は,凝縮液内に形成される濃度差に基づくマランゴニ数Ma_xに依って分類できる.即ち,Ma_x>2000で滴状,2000>Ma_x>100では縞状あるいはリング状,Ma_x<100では膜状. 4.凝縮形態が平滑膜状の場合の液膜のヌセルト数Nu_<Ld>は,本研究者らの水平円管の層流膜状凝縮に関する理論とよく一致する.一方,凝縮形態が平滑膜状でない場合の凝縮液のNu_<Ld>は,本研究者らの理論値に比して,滴状の場合2〜7倍,縞状及びリング状の場合2〜3倍,リップルを伴った膜状の場合1.6〜2倍となり,それらのNu_<Ld>は,次の実験式で表せる. Nu_<Ld>=6.3x10^<-8>Bo^<1/2>(Ga_<Ld> Pr_L/Ph)^<1/4> ここに,Boはボンド数,Ga_<Ld>はガリレオ数,Phは相変化数,Pr_Lはプラントル数である.
|