研究概要 |
フロンガスのオゾン層破壊が世界的な問題となっている現在,わが国では主を主冷媒とする吸収式冷凍機・ヒ-トポンプが大きな注目を集めており,その性能改善が急務とされている。本研究は,水ーLiBr系吸収式において,主冷媒である水に相互不溶解性である炭化水素系の補助冷媒を混入し,蒸発器内で対向流型の相似型の温度分布を形成させて性能向上をはかると共に,吸収器内ではLiBr水溶液へ可溶性を有する水蒸気だけを吸収させ,不溶解性の補助冷媒を凝縮させることにより,混合冷媒の自然分離を行い,希釈されたLiBr水溶液だけを再生器へ送ることで投入熱エネルギ-(COPの分母)の低減を図ろうとする新しいサイクルに関するものである。このサイクルは特に蒸発器内では,流れを,その方向にして非共沸または共沸蒸発をするという複雑な挙動を示すためこの蒸発特性を解明することが本研究の主目的である。本年度は,まず水に不溶解性の補助冷媒として2エチルヘキサノ-ル系を取り上げ,水ー2エチ-ルヘキサノ-ル系冷媒の減圧下での蒸発特性を実験的に明確にするために,気液平衡状態線図の測定を行い,気液平衡曲線の実験式を得た。つぎに,混合冷媒のモル比を変化させ,共沸,非共沸で蒸発させることができる対向流型の蒸発器を作成し蒸発実験を行い,その結果混合冷媒蒸気の温度を圧力一定のもとで変化させることが可能であることを実証した。今後は,この実験結果にもとづき,蒸発面での熱・物貭移動をモデル化し,そのモデルの妥当性実験と温度可変型蒸発器の開発について検討を加える予定である。
|