研究概要 |
本研究では、フロ-カロリメ-タ-により新作動媒体の液体域の定圧比熱の測定を行なった。このフロ-カロリメ-タ-は、昭和59年度科学研究費奨励研究(A)により製作したものを少しずつ改造してきたものである。本年度は、標準沸点が約-25℃のHFCー152a(1,1ーディフルオロエタン)および標準沸点が約-10℃のHCFCー1426(1ークロロー1,1ーディフルオロエタン)の液体域における定圧比熱測定を行なった。最終的な測定範囲は、HFCー152aに関して276Kから360K,1.0MPaから3.2MPaまでの温度・圧力範囲であり,HCFCー142bに関して,276Kから350K,1.0MPaから3.0MPaに31点の定圧比熱値を得ることができた。両物質の純度は99.95mol%であり、測定精度は温度に関して±13mK,圧力に関いて±3kPa,そして、定圧比熱値に関して±0.4%であると判断している。これらの測定値を用いて、定圧比熱を温度および圧力の関数として表わす相関式を作成し、エンタルピ-の誘導あるいは飽和蒸気圧力における値を求めて、飽和液体状態の定圧比熱値を決定した。この飽和液体の定圧比熱値は、現存の装置で多く用いられているCFCー12およびCFCー22の値と比較した。 上記2物質の測定後カロリメ-タ-の測定結果に大きな系統誤差が生じるようになり、府ロ-カロリメ-タ-の測定精度を再確認する目的から、質量流量測定について詳しく検討を行ない最大1.6%の誤差が生じていることを明らかにした。これが原因で交付申請書に示したHCFCー225の測定を行なうことはできなかった。 代えて定圧比熱の推算法に関する検討を行なうこととした。HFCー152aの場合を例にして示すならば、大まかに、Watsonの方法では約30%,SternlingーBrownあるいはLymanーDannerの方法で約10%,RowlinsonーBondiの方法で約5%の本研究結果との相違があることを明らかにすることができた。
|