研究概要 |
都市排熱および産業廃熱等の低温度レベルで捨てられていた熱を、ヒ-トポンプを用いることにより中温度レベルに昇温して再利用しようとする考えから、新作動媒体の熱量測定を行なうことにより最適な作動媒体を見い出すための熱力学検討を行なうことが本研究の目的である。すなわち、作動媒体として最も重要な熱力学特性である定圧比熱情報を実験的に決定することを具体的な目標とした。 平成2年度は、液体および気体用のそれぞれに存在する定圧比熱測定装置の改造から開始し以下の研究成果を得ることができた。 1.気体用の測定装置に関して、少量の試料でも多くの測定が行なえるように、試料を循環させて長時間安定な状態を実現できるよう改良した。 2.新冷媒HFCー134aの気体定圧比熱を4点決定できた。 3.熱量計本体の断熱性能を向上させる目的から、多層金属板真空断熱法により液体用では検出できなくなるまで熱損失を抑えることができた。 平成3年度は、液相の定圧比熱測定に関して以下の研究成果を得ることができた。 1.標準沸点が約ー25℃のHFCー152aに関して、276Kから360K,1MPaから3.2MPaまでの温度・圧力範囲に36点の液体定圧比熱を決定できた。HFCー152aの純度は99.95mol%,温度測定誤差±13mK,圧力測定誤差±3kPa,そして、最終的に決定した定圧比熱の不確かさは±0.4%であった。 2.標準沸点が約ー10℃のHCFCー142bに関して、276Kから350K,1MPaから3MPaに31点の定圧比熱値を決定できた。HCFCー142bの純度は99.95mol%,温度および圧力測定誤差はそれぞれ±13mKおよび±3kPaであり、最終的に決定した定圧比熱の不確かさは±0.4%であった。 3.以上の定圧比熱を表わす温度および圧力を独立変数とする相関式の作成を行なった。この相関式より飽和液体状態の定圧比熱も決定した。
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