研究課題
一般研究(C)
種々の運動において肩複合体を構成する上腕骨および肩甲骨がどの様な3次元運動を行うか、またこの運動の発生には各筋がどの様に協調して働くかを運動学的デ-タと筋電図を用いて次のような方法により解析した。1)肩甲骨と上腕骨の3次元運動および筋電図の同時計測前額面、矢状面、肩甲骨面における挙上運動について実験を行い、肩甲骨と上腕骨の3次元運動デ-タおよび三角筋、僧帽筋、上腕2頭筋、前鋸筋等の筋電図デ-タを収集した。この結果、肩甲骨と上腕骨の挙上量の比は従来より言われているように挙上の初期では上腕骨がより大きく動くが、挙上と共にかなり変化することが判明した。また前方挙上や肩甲骨動の挙上に比べて外転では運動パタ-ンは大きく異なり、力学的にも困難な運動であることが示された。肩に疾患のある場合についても実験を行ったが、外転の制限が多くの例で観察された。また本計測は疾患の定量的な評価や手術およびリハビリテ-ションの評価にも有用であると考えられた。2)投球動作の実験実験の結果、体幹に対する上腕骨の3次元的角度により投球動作の4相を識別することができた。熟練者と非熟練者ではそのパタ-ン特に上腕骨の回旋と筋電図パタ-ンに大きな相違が見られた。3)死体標本を用いた実験死体標本を用いて最大循環運動時の可動域と上腕骨の回旋量を調べた結果、両者にはほぼ比例関係があることが分かった。言い替えれば拘縮により回旋が制限されれば可動域も減少する。このことは関節に付着する靭帯や筋の動きからも合理的な説明ができる。
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