研究では以下のような手順をとり、その成果が得られた。 1 最適設計用数学モデルの設定 (1)有限要素法などの離散化手法の使用 解析可能なものに対しては有限要素法などの離散化手法で数学的モデルを設定した。 (2)実験手法 解析に手数のかかるものや困難なものに対しては、初期設計の実機やモデルに対して加振・打撃試験を行い、系のパラメータや感度の直接的な同定を行なった。実験に供したモデルとして、はり、板等の基本的な構造部材や骨組み構造を採用した。ここで求められた系のパラメータや感度は最適設計に用いられた。 2 最適設計のAI技術を適用する方法の検討 はじめに従来の数理計画法を主体とした最適設計法にAI技術を導入する方法を検討した。具体的には感度や制約条件の一部に数式処理を、目的関数、制約条件の取り扱いやその順序づけに、定性推論・判断等のAI技術を主として導入することを中心に検討を加えた。また設計用のデータベースを構築し、その階層を作った。 さらに上記の研究成果を基に“AIを応用した最適設計システム"の構築を行なった。すなわち、具体的には、設計者との対話を行ないながら最適設計を行う次の項目を含んだシステムの開発を行なった。 (1)グラフィックスディスプレー上に理解しやすい解析結果、感度、最適設計の諸量やその結果を表示。 (2)ユーザ定義の目的関数や制約条件を数式処理により、ユーザへ定義。 (3)多目的最適設計の過程において、微分値やトレードオフ比を定性的に表示させ、設計者の負担の軽減。 当該研究の成果として“AIを応用した最適設計システム"として実用に十分供し得るシステム開発ができ、またその過程で得られた理論的および実験的な成果は別記のような論文等としてまとめられ公表された。
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