力発生部を複数集積化した大出力・大変位静電アクチュエ-タ

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02650196
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90134642)
• キーワード: マイクロアクチュエ-タ / 静電アクチュエ-タ / マイクロマシ-ニング / シリコンプロセス

研究概要

本研究では、複数の微細な力の発生要素を同一プロセスで集積化することにより、全体としてより大きな力や変位の取り出しが可能な、静電マイクロアクチュエ-タを開発することを目的とする。半導体微細加工プロセスにより、μmオ-ダの機械部品やモ-タを作る研究が注目を集めているが、最大の研究課題はプロセスと適合性が良く、また十分な出力を持つマイクロアクチュエ-タである。これを可能にするには、一つ一つでは小さな動きや力しか発生しない駆動要素を複数個、直並列に組み合わせて用いる必要がある。しかし従来は、基板と垂直な方向の動きしか出来なかったため、いくつもの駆動部を直列に重ねることは不可能だった。本研究では、基板と平行な方向の動きが可能で、しかも一つ一つの要素が比較的大きな力が発生できるような構造を工夫し、それを基板上に複数配列することでこの問題を解決する。
今回製作したアクチュエ-タは、厚さ4μmの多結晶シリコンをフォトリソグラフィとエッチングで加工したもので、幅3μmの梁からなる可動部分と基板に固定した駆動電極と2.5μmのギャップで相対する長さ200μmの駆動部、2つの駆動部を向い合った頂点に付けたひし形の弾性変形部(パンタグラフ)、パンタグラフの複数つなげた両端を支える弾性支持部からなっている。パンタグラフは、一辺300μm程度の大きさで、直列に3連つなげたアクチュエ-タを試作した。駆動部に電圧を加え、パンタグラフを左右に引張ると、他の頂点が5μm変位することを確かめた。

研究成果

• [文献書誌] N.Takeshima,H.Fujita: "Systems with Microactuator Array" 電気学会システム制御研究会. SCー90ー1〜11. 53-60 (1990)
• [文献書誌] 竹島 尚弘,藤田 博之: "分散型マイクロ運動システムによる材料表面のインテイジェント化" 第1回インテリジェント材料シンポジウム. (1991)
• [文献書誌] 竹島 尚弘,小林 大,藤田 博之: "分散型マイクロ運動システムの提案" 平成3年電気学会全国大会. (1991)
• [文献書誌] N.Takeshima,M.Ozaki,K.J.Gabriel,H.Fujita,J.Takahashi,H.Horiguchi: "Electrostatic Parallelogram ActuatorsーA Transforming Mechanism of normal Electrostatic Forceー" 6th Interntl Conf.on SolidーState Sensors and Actuators. B1.5 (1991)
• [文献書誌] N.Takeshima,H.Fujita: "Microactuator Arrays for a Ciliary Motion System" 1991 ASME Winter Annual Meeting. (1991)
• [文献書誌] G.S.Buja,H.Fujita,K.Ohnishi編: "RECENT ADVANCES IN MOTION CONTROL(モ-ションコントロ-ルの最新技術)" 日刊工業新聞社, 138 (1990)